令和3年12月9日 全会一致で可決

令和2年12月、当条例制定のためのプロジェクトチームが発足され、令和3年12月9日に本会議にて全会一致で可決されました。

しかし条例化はまだスタート地点であり、ケアラー・ヤングケアラーへの社会での理解を促進し、必要な支援へと繋がるような施策や体制構築、人材の育成など課題は山積しております。引き続き、プロジェクトチームの活動で実態調査や支援計画策定、実施状況調査が円滑に進められるよう努めてまいります。

支える人を皆で支える

忘れてはいけない ケアをするひとへのサポート

障がいや疾病、老齢などによりケアが必要になった人への家族や友人・知人による、無償のケアを担う方々を支援する重要性を社会全体で考える。

子育てと介護、障がいをもつ子と認知症の親、若年性認知症や依存症などを抱える配偶者と要介護状態の親などの多様なダブルケアへの支援、老々介護、働く介護者の離職など介護等への疲れやストレス、鬱、介護心中や介護殺人など悲しい事件を防いでいく。

  

ケアラーの多様な価値観を尊重し、社会的・経済的に孤立することなく、県民誰もが生きやすい人生を歩むことができるよう、ケアをされる側だけでなくケアをする人たちへの支援の必要性を明確にしました。

家族へのケアなどの重責に学校活動等に支障をきたし将来の選択に制限を強いられるヤングケアラーの早期発見・支援にも繋げていかなければなりません。

ケアラーとは

 心身の機能の低下、負傷、疾病、障害、その他の理由により援助を必要とする家族、身近な人その他の者に対して、無償でケアを行う者。

海外諸国では充実した施策を展開

ケアされる方への支援で充分にケアラー支援につながるとのご
意見が未だ根強いのが日本の状況ですが、ケアラー自身が幸せで
なければ真の幸せな関係は成り立ちません。ほかにもフィンラン
ド、ドイツ、フランス、ニュージーランドなど法律や制度などで
具体に支援を規定する国が多い。レスパイト( 一時休息) の支援
を明確にし、ケアの対価として国から現金給付される事例もある。
世界一高齢化が進み、多様なケアラーが多い日本での認識は先進
国中でも低いのが現状です。

国名ケアラー支援を含む法律内容
豪州ケアラー認識法(2010)
ケアラーを法律で位置づけ
米国家族介護者支援法RAISE(2018)戦略策定を義務付け
英国ライフスパン・レスパイト法(2006)
ケアに関する法(2014)
子どもと家族に関する法(2014)
ケアラーアセスメントを受ける権利
台湾長期介護サービス法(2017)家族介護者支援サービス
スウェーデン社会サービス法(1982)

条例制定までの主な流れ

令和 2 年 12月  プロジェクトチーム(PT)発足
〇 座長 鈴木将(つくば市)
副座長 中村修(取手市) 水柿一俊(筑西市)
石塚隼人(坂東市) 沼田和利(牛久市) 村田康成(神栖市)
令和 3 年 1 月 21 日  PT役員による調査
〇 茨城キリスト教大学 松澤明美准教授との意見交換
令和 3 年 3 月 9 日  有識者講演
〇 一般社団法人日本ケアラー連盟代表理事 日本女子大学名誉教授 堀越栄子氏

【具体的成果】
 ケアラー連盟のみなさまの日々の現場の活動から改めて法制化・条例化の必要性を認識した。
令和3 年4 月19 日 県執行部の取り組み状況調査
〇 保健福祉部、産業戦略部、教育庁
令和3 年4 月30 日 土浦市視察調査
〇 実態把握、関係者の役割、国・県への期待など
令和3 年6 月8 日 合同ヤングケアラーPT
〇 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課
  文部科学省初等中等教育局児童生徒課
令和3 年7 月6 日 県内団体との意見交換会 
〇 関係団体(16 団体) との意見交換

【具体的成果】
 当事者及び団体のこれまでのご苦労に対して、情報共有の必要性と早期発見・早期支援の必要性を感じた。
令和3 年7 月~ 条例案の作成・検討
〇 幾度にもわたるPT 役員間での打ち合わせや執行部等との協議を重ね条例案を作成、その後PT 全体に諮る
令和3 年11 月6 日~ 18 日 パブリックコメント等の実施 
〇 県民に向けた14 日間のパブリックコメント

【具体的成果】
 多くの県民の声や、市長会、町村長会の現場の意見を反映し、条例案文に反映することができた。
令和3 年11 月9 日 学生・教員との意見交換会
〇 茨城大学、常磐大学の学生および教員への意見照会

【具体的成果】
 教育現場でみるヤングケアラーの実態について、学生・教員の立場から現状を把握することができた。

令和3 年11 月~ 条例案の修正
〇 PT メンバーとの協議を重ね、条例案文修正などの検討
令和3 年12 月9 日 本会議(閉会) 
〇 条例案上程を記者発表し、本会議にて提案者説明、全会一致で可決

【具体的成果】
 多くの皆様のご協力により、本会議において全会一致で可決していただくことができた。賜りましたご意見すべてを条文の魂に込め、より実効性のある展開に繋がるよう、形式に固執することない成文・修文とした。

令和3年度予算に支援事業費 【令和4年当初予算額900万円】

ケアラー、ヤングケアラー実態調査

〇ケアラー、ヤングケアラーの現状や支援ニーズ、認知度を把握

<ヤングケアラー実態調査>
 ・中学校、高校アンケート
 ・中高生アンケート(当事者)
 ・要保護児童対策地域協議会と
  支援期間アンケート

<ケアラー実態調査>
 ・家族の回答関係団体アンケート
 ・当事者アンケート
 ・地域包括支援センター等支援
  機関アンケート

理解促進、認知度向上の取り組み

〇県民向けに理解促進を図る動画の配信
〇大学、専門学校、高校、中学校における広報
〇市町村、支援機関等によるケアラー支援に
 向けた検討会を実施

有識者等からの意見聴取

〇県推進計画やケアラー支援策に、有識者等の意見を反映